ID:Roniaの記録

『世界桜』のものがたり～其ノ弐

ある日ひ、一人ひとりの遺体いたいが、桜さくらの樹きの根本ねもとに埋うめられた。

其それは大人おとなだった。

世界せかいに名なを轟とどろかせた英傑えいけつだった。

『せめて彼あの世よで、安やすらかに過すごせる様ように』

其それが、此この場所ばしょに埋うめられた理由りゆうだった。


次つぎの日ひ、別べつの遺体いたいが埋うめられた。

其それも又また、大人おとなだった。

世界せかいに名なを轟とどろかせた英傑えいけつだった。


其その次つぎの日ひも、其その又また次つぎの日ひも……。


『桜さくらの樹きの下したには英傑えいけつの魂たましいが集つどっている』


何処どこでそんな噂うわさが立たったのか、桜さくらの樹きの根本ねもとに、英傑えいけつの遺体いたいが埋うめられていった。

遺体いたいが埋うめられる度たび、墓標ぼひょうも一ひとつずつ増ふえていった。




其それから、十五日じゅうごにち後ご。

其迄それまでと違ちがい、子供こどもの遺体いたいが埋うめられた。

最後さいごに埋うめられたのは、年端としはも行いかぬ少女しょうじょだった。

『世界せかいに名なを轟とどろかせた英傑えいけつ様方さまがたと共ともに居いれば、きっと寂さみしく無ないだろう』

其それが、英傑えいけつ達たちと同おなじ場所ばしょに埋うめられた理由りゆうだった。