ID:yaruzoの記録

記録-███回『神秘と信仰に属する者』


私達はそれらを「神秘と信仰に属する者」と総称する事にした。

親愛なる隣人として振る舞う者もいれば、人間に害する者もいる。

一部では、人間に有益な者だけの存在を肯定するような過激な思想も見られる。
上層部のメールボックスよりも、それらに伝わる方が早いというのに。



悪魔、妖怪、病魔、幽霊、神格。
魔法、呪術、錬金術。

神秘。

私達はこの███年間、人理の外にあるものの理解に努めてきた。

神域を犯した者に降りかかる天罰が地の底に滞留する有毒ガスであることから、
家々を鳴らす妖の正体が温湿度により軋む木の音であることまで。

ただひたすらに、私達が納得のいくように定義する。

分かったのは、それらの中にはどうしても、定義には当てはまらない……
複雑で、気まぐれで、定めた体系に収まらない、とても……
個とも表現すべきような、存在がいる。ということだった。

それらはあまりにも隣人のように近すぎるが、星光のように遠い。

私達は、世界で孤独ではなかったことを喜ぶべきなのだろうか?
それとも、それらの存在を——私達の理解の外にあるまま——容認すべきではないのか。


議論はこれでもう██回目で、総時間は█████に及ぶ。
結論を急ぐ訳にはいかないが、私達にはもはや当初のような興奮は残っていない。
今回の会議もおおよそ、保守的な考えに終わるだろう。