ID:snmyatoの記録

むかしむかしの、いつかのはなし

『近年の瘴気の増加ペースはおかしいぞ!? 一体どうなって……!』
『この基地はもう持たない! 各輸送を急げ! エリア81のF地区なら、まだ余裕があるはずだ!』

悲鳴が聞こえる。

『瘴害危険区域に向かった先遣隊が、全滅したって……連絡が……』
『そんな……またなの……!? これ以上の犠牲は、もう……』

嘆きが聞こえる。


『かみさま……たすけて……』


忘れ去られて久しい、祈りが。聞こえた。

――けれど。
祈りが向かう先にはもう、何もいない。空白の " 座 " があるだけ。

 幾重にも重なっている声がひとつ、またひとつ。その数を減らしていく。
惑星ほしに生きる生命の終焉。ヒトが存在する以上、避けられない絶対の終わり。


「……おやすみ」


 長い永いひとときの眠りを。静寂に包まれた水の惑星を認めて、目を閉じる。
冷たい冷たい、そら星海うみ。数多の星光を受けた銀色が、剥がれ落ちて消えていく。

――それじゃあ、また。 " 次 " で逢おう。