ID:chikuwatouの記録
🏝️波誘い
ふと、
せつな。
きらめいた。
しらない波がみえた。
しらない海がかがやいてた。
あれは何? はるかな島、ひかってる。
ふれたい。ふれられない。どうして?
ぼくの手じゃ大きい。とおい。
ふれるための、器がない。
……どうしよう?
……
どうしよっか。
どうしようか。
どうしようかな?
こうしようかな?
じゃあ、こうしようか。
“おいで、その扉をくぐって”
“きみたちの、ぼくの知らない海へ”
“みて、かんじて みせて、おしえて”
ちょっと手をかして欲しいんだ。
きっとぼくじゃ遊びに行けないから。
きみたちの思い出を、わけてほしいんだ。
ぼくの、海のかごならわけられるから。
うん。
あの子いがいにもいろんな子たちをよんだよ。
答えてくれたから。
おもうこと?
わるいことなの?
そうなんだ。
……
ごめんね。
かかわらない?
もうあの子たちとははなしちゃだめなの?
わかった。
それは……むずかしいかも。
わざと、じゃないよ。
ぼくがやめても、たまにぼくのしらない波がくる。
その波が、みんなをさらっていくかもしれないし、
それをぼくがとめられるかはわからない。
それも、むずかしい、かも。
海は、ぼくとなかよしだけど、
急にしらない色になっちゃうから。
わからないんだ。
……
ごめんね。
うーん……
じゃあ。
うまくにできるかはわからないけど、
せめて海のむこうにいっちゃった子たちが、
少しでも、へいきなままでいられるようにするね。
わからない。けど、やってみたい。
あの子たちに、ごめんなさい。できないかもしれないかわりに。
わかった。
なにかやるときは、きみか、うつせみに聞くね。
せつな。
きらめいた。
しらない波がみえた。
しらない海がかがやいてた。
あれは何? はるかな島、ひかってる。
ふれたい。ふれられない。どうして?
ぼくの手じゃ大きい。とおい。
ふれるための、器がない。
……どうしよう?
……
「あっつ……なんで夏って毎年毎年飽き足らず蒸し暑くなるのかな〜……」
「……ん、なんだろ、あれ」
どうしよっか。
「……こんな道、通ったっけ?
というか、こんな場所……近所にあったんだ」
どうしようか。
「……? 純白の……潮騒の扉?
いかでかかるところに……」
どうしようかな?
「……なんで外に扉だけが……波の音?」
「え、なんで……?海とは無縁の場所だぞ……」
こうしようかな?
「…………」
「声?」
じゃあ、こうしようか。
“おいで、その扉をくぐって”
“きみたちの、ぼくの知らない海へ”
“みて、かんじて みせて、おしえて”
ちょっと手をかして欲しいんだ。
きっとぼくじゃ遊びに行けないから。
きみたちの思い出を、わけてほしいんだ。
ぼくの、海のかごならわけられるから。
「……ははあ、成程。貴方が原因でしたか」
うん。
「しかも千葉さんのが初犯じゃないんですよね」
あの子いがいにもいろんな子たちをよんだよ。
答えてくれたから。
「……貴方に聞いても……まあ、意味はないと思いますが」
「何か他に思うことはないんですか?」
おもうこと?
「罪悪感……など。悪いことをしたという気持ちは」
わるいことなの?
「……」
「そうですよ。貴方には理解し難いかもしれませんが」
そうなんだ。
……
ごめんね。
「……それはその“いろんな子”達に伝えてほしいのですが」
「まあ、もう関わらない方がええか……」
かかわらない?
もうあの子たちとははなしちゃだめなの?
「……少なくとも、勝手に接触するのはやめてください。
貴方は何をするかわからないから」
わかった。
「あと人を攫って知らない島?でしたっけ。
そこへ連れてくのももうやめてください」
それは……むずかしいかも。
「……難しい?」
わざと、じゃないよ。
ぼくがやめても、たまにぼくのしらない波がくる。
その波が、みんなをさらっていくかもしれないし、
それをぼくがとめられるかはわからない。
「貴方の手では止められないのですか?」
それも、むずかしい、かも。
海は、ぼくとなかよしだけど、
急にしらない色になっちゃうから。
わからないんだ。
「……さいですか」
「なかなか厄介な問題になってきましたね……」
……
ごめんね。
「別に……大丈夫、ではありませんが、
まあ仕方ないことでしょう」
うーん……
じゃあ。
うまくにできるかはわからないけど、
せめて海のむこうにいっちゃった子たちが、
少しでも、へいきなままでいられるようにするね。
「……そんなことができるんですか?」
わからない。けど、やってみたい。
あの子たちに、ごめんなさい。できないかもしれないかわりに。
「ふむ……その気持ちは正直ありがたいですね。感謝いたします」
「……では、私はやるべきことも終えましたし、これで失礼します。
もう勝手に変なことはしないでくださいね」
わかった。
なにかやるときは、きみか、うつせみに聞くね。
「ああ、はい。それでお願いします」