ID:snmyatoの記録

静かの星海

 生命の声が絶えてから己が再生を終えるまで、どのくらいの時が経ったのだろう。
此度の空白は――凡そ、8万年。限界を迎えての死ではなかったこともあり、やや早いと言えるか。
まあ、今この場において年月など意味がない。濃紫に覆われた惑星せかいに、生けるものはもう居ないのだから。

 昏く、眩しいそらを泳いで。惑星ほしを抱え込む。砕いてしまわないよう、慎重に。
そして星々の光を受けて煌めく銀鱗を、存在を、暗海そらへ溶かす。齎される光を、遮らないように。

 凍えるような寒さに包まれながら、目を閉じて。かつての人々が残した瘴気ものを、この身に集めていく。
静寂の中、長い永い時をかけて。ただただ、待ち続ける。この惑星せかいにまた、生命が生まれ来るようにと。

――ひとり、静かの星海そらで。願い続ける。