ID:snmyatoの記録

■■の甘言

巨大な青銀の機体が月光を反射する。それは人々が作り上げた奇蹟であり、希望のかたち。

なるほど。その方舟ふねならば、星海を渡る旅も可能だろう。
……だが。この惑星ほしから去るなど――私から、離れるなどと。そんなこと許すはずがない。

外の世界へ飛び立ったとして、根本的な解決には至らない。
時間稼ぎにすらならない。ここから離れるなら、尚のこと。
人間ひと人間ひとである限り、その滅びから逃れることは出来ないのだから。

……それでも。ちから持たぬ身で、遥か彼方へ向かうというのなら。
証明してみせろ。私の執着庇護を振り切ってみせろ。
この程度のことも出来ないようでは、外では生き残れない。――生きることを・・・・・・許されていない・・・・・・・

故に。繰り返す時間とき微睡む生きるなら、喜んで付き合おう。元よりこの機構は、そのために創られた。
何度でも。いつまでも。――叶うのならば、永遠に。