ID:884teikiの記録

ページ3

なんにも知らないまま、狭い世界で生きること。
それがあたしの身の丈に合った幸せだったのだろうか。
 
はじめは通信越しでしか、まともに言葉を交わすことの無かった寮の皆。
陰から覗いているうちに、どうしてか興味が湧いて。
のこのこと出ていったあたしの脳みそには、いつしかわさわさと花が咲いてしまったようだった。

帰ればあたしはただの無能力者へと戻ってしまうのに。
上がった幸せのハードルはいっしょに戻ってくれない。


一歩一歩が、まだ重くて仕方がない。

「……行け、動け、あたし。次、止まったら。ほんとに進めなくなっちゃう……」