ID:884teikiの記録

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ぼろぼろと、好意から程遠い言葉ばかり吐き出しながら。あたしは足を進めていた。そうしたって一向に歩みは軽くならないけれど。

もうすこし進めば、次の扉がある。

暖炉で煌々と燃える火のそれではなく。どこか錆びたような、鈍い赤の扉。あたしより更に悪い目つきを思い出して嫌な気分。

お人好しどもの中でもひときわヤバい。ライバルキャラと成長型主人公を足して割ったような振る舞いをするあのバカ。
アレが変な気を起こさないかが一番の不安要素だ。
普段チビ助だの何だのうるさいくせに、あたしが他寮の奴らと生身でエンカウントしたら。まるで――まるで、あたしの兄貴かなにかかって感じで。割って入ってくるようなあのバカが。

もし、もしこの先がそうだというのなら。
三年間分の罵倒を足しても足りないくらい。目一杯の拒絶で跳ね除けよう。


「――だから、あんたのうるさい声を聴くのもこれが最後。ホントーに清々する、ワケよ」



本物の徒労感なんて、チンピラAには似合わないようなもの。絶対に負わせてやるもんか。
家族でもなんでもないし、頭の悪いあんたの言葉なんか。まともに受け取ってあげない。

わざわざ暗いとこなんか覗きに来ないでお日様の下で勝手に楽しく遊んでろ。お花畑クソ陽キャ。