ID:884teikiの記録

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皆が言う『皆』とか。そういうのには含まれてこない人生を送ってきたけれど。
ネツキ先生の言う『生徒』には多分あたしも含まれている。寝坊して、サボって、生意気な口叩いてた、そんなあたしも。

「……ねえ、ラット。あたしの思ってた事。先生が知ったら、叱るかな」


生きたまま卒業しても、ゆるやかに終わりを待つつもりだった。

何も考えないで。
抵抗もしないで。
独りのまま。
枯れかかった植物みたく過ごす。

「……黙っててはくれないんだろうね。……あは、ホントーに馬鹿だよ、皆、馬鹿……」



そうやって、あたしは止まってしまうから。だから、止めようとしても。
声がずっと止まない。

もう、十分わかった。

「…………良いや。あたしも、おんなじくらい。馬鹿になってやる」



だらり、手を落とす。

「あたしなんかでも…………あたしだって、ヴィクセンクラフトだ」


――両の拳を握りしめた。

「お人好しどもの一員で、ネツキ先生の生徒で、それで――」



「――あんたの主人」



ゴールまで、もう止まれない。