ID:AodamaSappの記録
【魚拓】とある愚者の手記
とある愚者の手記
____あれから永い時が経った。
その間に愚者はたくさんのものを失った。
仕えていた家主、住む家、仕事、そして___同族。
希少種故のかなり本能に近い恋幕は、愚者の理性を上回り、ついには超えては行けない壁も壊してしまった。
____________________
愚者は孤独だった。生まれ落ちてすぐ親に棄てられ、里親に育てられた。
しかし、これは愚者の親が意図的に仕組んだものであり、棄てられたと言うが庶民価値観を知るための愚者の親なりの教育だった。
…というのも元々の愚者はこの希少種の中での王族に近い立場であるところの生まれであり将来は無理やりにでも継がされる予定であった。
それを愚者が知ったのは人の子の年齢にしておよそ20の頃。
この頃からだった。愚者が本能を抑えられなくなったのは。
___________________
そうして、信頼できたはずの同族も愚者の周りからいなくなってしまい、自責からもうこの世界の全てが憎く感じたのだ。
…愚者は飛び降りた。高度が下がっていく度に薄くなる意識に身を委ねた。
暗転。
愚者の意識はまだこの世界にあった。
それもそのはず、生き延びてしまったからである。
幸運なのか不幸なのかは愚者には分からないほどぼんやりとしていたが、まだ死ななかったのはこの世界においてまだやるべきことがあるということが、と悟った。
その後の愚者の行方は、まだ誰も知らない
____あれから永い時が経った。
その間に愚者はたくさんのものを失った。
仕えていた家主、住む家、仕事、そして___同族。
希少種故のかなり本能に近い恋幕は、愚者の理性を上回り、ついには超えては行けない壁も壊してしまった。
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愚者は孤独だった。生まれ落ちてすぐ親に棄てられ、里親に育てられた。
しかし、これは愚者の親が意図的に仕組んだものであり、棄てられたと言うが庶民価値観を知るための愚者の親なりの教育だった。
…というのも元々の愚者はこの希少種の中での王族に近い立場であるところの生まれであり将来は無理やりにでも継がされる予定であった。
それを愚者が知ったのは人の子の年齢にしておよそ20の頃。
この頃からだった。愚者が本能を抑えられなくなったのは。
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そうして、信頼できたはずの同族も愚者の周りからいなくなってしまい、自責からもうこの世界の全てが憎く感じたのだ。
…愚者は飛び降りた。高度が下がっていく度に薄くなる意識に身を委ねた。
暗転。
愚者の意識はまだこの世界にあった。
それもそのはず、生き延びてしまったからである。
幸運なのか不幸なのかは愚者には分からないほどぼんやりとしていたが、まだ死ななかったのはこの世界においてまだやるべきことがあるということが、と悟った。
その後の愚者の行方は、まだ誰も知らない