ID:snmyatoの記録

青い眼の、

それは、いつかの原風景ゆめ。誰かの記憶想いの欠片。風がそよぐ草原での語らい。

 -+-

「はあ? 俺が王? いやいや無理だろ、どう考えても。一介の羊飼いに何を求めてんだ」
「レーヴェはいっぱいいる羊、まとめるの上手だから。王様も出来そう」
「人間と羊は全っ然違いますー。つか、エセルがいるんだから、あいつに任せたほうがいいんじゃねえの?」
「適材適所は、わかる。……でも、まだ早いと思う。それにみんな、あなたのこと頼りにしてる」
「うぐ……それを言われちまうと……。けど、最低でも軌道に乗るまでやれってことだろ。自信ないよ、俺」
「大丈夫。わたしも、エセルも、みんなもいる。この先も力を合わせれば、何とかなる」
「今までの延長線上で、か……そう考えると、何とかなりそうな気がしなくもないが。問題は、」
「守る仕組みを、作らないといけない?」
「ああ。今のところ、俺一人でどうにか追い払えてるけど。万単位で多方面から同時に来られたら、流石に捌き切れない」
「最強の名を欲しいままにする、青の剣士様でも無理?」
「物理的に不可能だ。魔法でも使えりゃ別なんだろうが。あと単純に体力が持たねえ。……俺も、いつまで生きていられるかわからないし」
「……。それで、レーヴェ抜きでもどうにかなる方法を、と」
「そういうこと。険しい山々という天然の要塞があっても、周辺国家から身を守るには足りない。他の国々と同等、もしくはそれ以上の力を見せて牽制する――口で言うのは、簡単なんだがなぁ」
「難しい?」
「そりゃあ、もう。難題もいいとこだ。イリスのお陰で資源が豊富なのが、裏目に出てるんだよな」
「わたしたちは周りの国にとって、脂の乗ったおいしい羊」
「言おうとしてることは分かるし合ってるけど、そこは豚とか牛じゃねえのか」
「羊はふわもこの毛の分だけ、豚や牛よりお得」
「さいですか。……まあ、とにかくだ。戻ったらエセルたちにも相談して、方針を決めようぜ」
「うん。――帰ろう、レーヴェ」
「……おう。帰るか、イリス」


温かな居場所。仲間たちが待つ、その地へ。